現地生産のUSA酒と伝統のJIZAKE
 
 スキヤキやテンプラ、寿司などの日本食がアメリカで流行し始めたのが約20年前。米国で日本食が一般アメリカ人に知られるようになったのは、1980年の『SHOGUN』ブームからと言われている。日本酒も「HOT SAKE」として熟欄が人気があった。この頃、大関酒造などの大手各社が相次いで日本酒の現地生産に踏み切った。 アメリカには現在5軒の酒蔵がある。4軒(月桂冠大関八重垣)はカリフォルニア州に、1軒(SAKE-ONE(桃川))はオレゴン州にある。 その後、95年頃より日本酒の良さがアメリカ人に理解されるようになり「より美味しい日本酒を飲みたい」というアメリカ人の要望が増え、日本各地の地酒が注目されるようになった。原料、製造工程など日本各地で培った手作りの伝統技術が評価され、「JIZAKE」として定着。アメリカ本土で生産される日本酒の他、「PREMIUM SAKE」あるいは「JIZAKE」として、レストランメニューに表示されている。そしてヘルシーブームに乗って、特に刺身や寿司が注目されスシバーが相次いでオープンし、日本の食文化が浸透し始めた。そこで忘れてはいけないのが日本酒。もともと食べる料理に合わせて酒の種類を決める律儀な気風を持っているアメリカ人は日本食なら当然日本酒という風に決めることが多い。実際、スシバーや日本食レストランでさかずきを傾け合っているアメリカ人の姿を見かけることもしばしば。微笑ましい光景だ。


酒が海を渡ってSAKEになった
 
アメリカではここ15年から20年の間に、折からの日本食ブームにのって日本酒消費量が増えてきた。驚くべきことに、その消費量の90%が白人市場によって支えられている。 日本酒の人気の秘密は何なのだろうか。日本酒愛好家のテッド・マグドナルド君(学生)はこう話す。「ヘルシーだからね。原料が純米と水という自然のものだけだし、アルコール度数もたった16%でほかの酒に比べて低いでしょ」。日本酒=ヘルシードリンクというイメージが、健康意識の高いアメリカ人ファンをつかんでいるようだ。 また、ロバート・ストロー氏(某証券会社勤務)は、「酒自体は好きじゃないけど、徳利にさがずきという飲み方がスタイリッシュ。昔はビールをぐいぐい飲み干すのが男らしかったけど、今はちょっと日本通を気取ってみたりした方が女性にもモテる」と話す。日本酒を飲むことでモダンに見せようとする彼らの間での人気は根強い。
 しかし、実際は日本酒の正しい飲み方を心得ているアメリカ人は少ない。もともと”ライスワイン”と称されてきたため、ワインのようにボトルのまま熟成させた方が美味しくなるという誤った知識を持っているアメリカ人もいるようだ。また、アメリカ人の多くは煮えたぎるほど沸騰させたホットな日本酒を飲んでおり、”冷や”で飲むような習慣はまだ定着していない。”冷や”を普及させることが、酒造メーカーの今後の課題となっている。日本酒人気の中、サンフランシスコ周辺の北カリフォルニアを中心に現地生産が盛んになってきた。この地域ではサクラメントバレーでとれる良質のジャポニカ米、そしてロッキー・シェラネバダ山脈の純度の高い雪解け水と原料に恵まれている。四季に醸造できるほど気候も良い。バークレーに工場を持つ米国宝酒造は、現地生産のリーダーとして酒の啓蒙活動に積極的だ。工場内にはテイスティング・ルームがあり、無料で試飲できるサービスをしている。アメリカ人団体旅行者も頻繁に訪れている。広告を出すなど、プロモーション活動にも力を注いでいる。



よりおいしく飲むために基礎知識
 
 日本酒とは「米、米麹、水、その他政令で定めるものを原料として発酵させてこしたもの」を指す。  日本酒は、冷やしても温めても飲める、世界的に見てもとても珍しいお酒だ。キンキンに冷やしても、アツアツの熱燗にしてもOKと、広範囲にわたっている。また、日本酒の種類によって異なる、それぞれの「美味しい」温度を知っておくとよい。  お酒の分類として、吟醸酒(オン・ザ・ロック、冷酒、冷や)、純米酒(冷酒、冷や、燗)、本醸造酒(冷や、燗)に分かれる。  温度帯によるお酒の呼び名として、冷酒は雪冷え(5°C前後、冷蔵庫やクーラーで冷やして飲む)、花冷え(10°C前後)、涼冷え(15°C前後、室内で保管し、そのまま飲む)がある。  燗には日向燗(0°C前後)、人肌燗(35°C前後)、ぬる燗(40°C前後)、じょう燗(45°C前後)、熱燗(50°C前後)、飛びきり燗(55°C以上)。